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リスク工学研究会(Risk Engineering Research Meeting:RERM)

2009年度開催RERM

第71回リスク工学研究会

講演日時 2009年11月9日(月) 18:15〜20:30
場所 筑波大学総合研究棟B0110公開講義室
18:15〜19:15  講演1(司会:梅本通孝講師(リスク工学専攻) )
講演者 本間俊充氏 (日本原子力研究開発機構)
講演題目 環境影響評価モデルの信頼性評価について
講演概要 原子力発電所のリスク評価では,事故で環境に放出される放射性物質の人への影響を推定するために様々な数学モデルが用いられる.評価モデルの結果が安全や許容レベルに関する規制の判断などに用いられる場合には,科学的な理解だけでなく公衆の理解を得る点からも,モデルによる評価結果の信頼性あるいは不確かさの程度を明らかにしておくことが重要となる. ここでは,環境影響評価モデルの不確かさ評価の取り扱いの方法と,特にチェルノブイリ事故で得られたデータを利用した放射性物質の生態圏における移行モデルの妥当性を検証するための国際共同研究で得られた知見について紹介する.
19:20〜20:20  講演2(司会:宮本定明教授(リスク工学専攻))
講演者 赤間世紀氏 (株式会社シーリパブリック,筑波大学客員教授)
講演題目 関数再考
講演概要 関数は数学やコンピュータで用いられている基本的な概念であるが,我々は日常的に当たり前関数を利用している.本講演では,関数の概念を厳密に再考する.まず,数学および哲学の観点からすると,一般的な関数の定義は厳密性に欠ける.しかし,ラムダ計算や組合せ論理により,関数の概念を厳密に形式化することができる. 次に,コンピュータサイエンス,特にプログラミングの分野における関数の重要性について解説する.いわゆる関数プログラミングでは,関数はファーストクラスシチズンとして一義的に扱われる.代表的な関数プログラミング言語である LISP により,関数とプログラミングの関連性を議論する. さらに,言語学や物理学などの他の分野における関数の使用例を示す.以上の議論から,関数の概念は我々が思っている以上の可能性を持っており,今後詳細に検討されるべきであるということが言える.
問い合わせ先  2009年度RERM担当 梅本通孝(umemoto"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第70回リスク工学研究会

講演日時 2009年10月5日(月) 18:15〜20:30
場所 筑波大学総合研究棟B0110公開講義室
18:15〜19:15  講演1(司会:内山洋司教授(リスク工学専攻) )
講演者 原田幸明氏 (物質・材料研究機構,筑波大学客員教授)
講演題目 資源リスクとサステイナビリティ
講演概要 サステイナビリティに対する物質利用の観点から「天地人」の3つのリスク管理側面を見ておく必要がある.「天」は地球温暖化に対するリスクであり,「地」は資源利用,「人」は化学物質影響である.その中で,「地」の資源利用リスクは,対象とする持続可能性の確保の範囲の観点から,「国民経済の持続可能性」にかかわる地政学的な問題,「人類経済の持続可能性」にかかわる資源枯渇の問題,「地球環境の持続可能性」にかかわる資源利用の問題と,多様な側面を有する.これらの現状を明らかにするとともに,基本的な資源問題の解決の方向性について論じ,「欲しいものが沢山すぐに手に入る社会」から「必要なものがちゃんと手にできる社会」への転換の方向を探っていきたい.
19:20〜20:20  講演2(司会:伊藤誠准教授(リスク工学専攻))
講演者 舩引浩平氏 (宇宙航空研究開発機構)
講演題目 航空分野におけるヒューマンファクタ研究について
講演概要 JAXAにおけるヒューマンファクタ研究の例を,前身である航空宇宙技術研究所の設立時まで遡って紹介してゆく.その中で航空技術に関して世界的には必ずしも先進的とはいえない我が国において,公的研究機関の果たすべき役割が何なのかを考える.
問い合わせ先  2009年度RERM担当 梅本通孝(umemoto"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第69回リスク工学研究会

講演日時 2009年9月14日(月) 18:15〜20:30
場所 筑波大学総合研究棟B0110公開講義室
18:15〜19:15  講演1(司会:糸井川栄一教授(リスク工学専攻) )
講演者 長能正武氏 (災害リスクマネジメント研究所 代表)
講演題目 大規模自然災害と1995年阪神・淡路震災を例とした経済影響の概観及び災害とBCP
講演概要 近年の災害において人身被害や構造物の損傷被害などの物的な損害としてばかりでなく,社会システムの機能面や社会活動の様々な側面に影響を及ぼすことが顕在化してきている.とりわけグローバル化が進む経済面への影響は広域化,長期化する傾向が強まっている.1995年阪神・淡路震災は,近代社会に被害と甚大な影響を及ぼした.
ここではこの震災が経済活動に及ぼした影響と示唆した課題についてについて概観的な 整理を試みる.併せて内閣府が企業などにおける災害対応として取り組みを推奨しているBCP(事業継続計画)についての考え方を述べる.
19:20〜20:20  講演2(司会:岡本栄司教授(リスク工学専攻))
講演者 工藤道治氏 (日本IBM東京基礎研究所,筑波大学客員教授)
講演題目 Global Technology Outlook 2009: Digital Economy
講演概要 Global Technology Outlook (GTO)は,毎年IBMの基礎研究所が作成する今後3年から10年の技術動向に関する白書である.2009年のGTOのテーマの一つにデジタル・エコノミーが 取り上げられた.デジタル・エコノミーという新しい経済の形態は,IT技術を活用することで,「新しい価値媒体」によるマネーフローや関連サービスを生み出すものである.デジタル・エコノミーの重要なトピックとして,透明性のある証券化,モバイル金融サービス,信頼性のある排出権取引を取り上げる.それらを実現するエコシステムは,適切なリスク測定により,非常に高い信頼性をもって新しい価値媒体を介したサービスを拡大し,公平で効果的な管理・監督を可能にするものになるだろう.
問い合わせ先  2009年度RERM担当 梅本通孝(umemoto"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第68回リスク工学研究会

講演日時 2009年6月29日(月) 18:15〜20:30
場所 筑波大学総合研究棟B0110公開講義室
18:15〜19:15  講演1(司会:伊藤誠准教授(リスク工学専攻) )
講演者 岩男眞由美氏 (いすゞ中央研究所 主席研究員)
講演題目 誰が頼んだ?ドライバ支援
講演概要 80年代後半から今日まで,ITで「ドライバを支援し,事故リスクを軽減する」大義の下,自動車の自動化システムや,過剰にセンサを配した道路交通システム等の開発が強力に推進されてきた.技術を追求する設計者の思い入れとは裏腹に,ドライバは高いコストと共に新たな精神的負担を強いられるようになったのかもしれない.そもそも,そんなドライバ支援を誰が頼んだのだろうか? 本講演では,演者がこれまでに関わったAHSを始めとするドライバ支援装置(情報提供系/警報系)のHMI研究を中心に,「何をなすべきか」といった研究目標設定(≒キャリアパス形成)の変遷をふり返ってみたい.
19:20〜20:20  講演2(司会:梅本通孝講師(リスク工学専攻))
講演者 長日高昭秀氏 (日本原子力研究開発機構 研究主幹)
講演題目 原子力発電所の更なる安全向上を目指したリスク情報の活用に係る最近の動向
講演概要 原子力発電所の安全確保活動におけるリスク情報の活用は,確率論的安全評価(PSA:Probabilistic Safety Assessment)技術の発達とともに,近年,欧米を中心に進展してきた.ここでリスク情報とは,原子力発電所で事故が起こる確率やどのような系統・機器等の故障が大きな事故に結びつきやすいかなどを定量的に評価した情報のことである.リスク情報は,多重防護の原則を基本としつつ,十分な余裕を見込んだ工学的判断に基づく従来の決定論的な手法と併せて活用することにより,安全上の規制判断や安全確保活動を行う際,より合理的な根拠を与えるとともに,効率性の向上に寄与すると期待されている.
 原子力安全委員会は,リスク情報を活用した規制(RIR:Risk Informed Regulation)の導入を推進するため,平成15年11月に「リスク情報を活用した原子力安全規制の導入の基本方針について」を決定した.同方針では,安全規制の合理性,整合性,透明性の向上及び安全規制活動のための資源の適正配分の観点から,リスク情報の活用は意義あるものと位置づけている.また,原子力安全委員会は,平成15年12月に原子力安全規制活動の下で事業者が達成すべき,事故によるリスクの抑制水準を示す安全目標案を提示するとともに,その後,平成18年3月に安全目標案に適合していることの判断のめやすとなる性能目標を提案し,RIRの本格的導入に向けた準備を進めている. 原子力安全・保安院においても,安全規制の個別判断においてリスク情報の活用を積極的に進めている.平成13年11月に浜岡原子力発電所1号機において余熱除去系蒸気凝縮系配管が水素燃焼により破断したが,その再発防止対策の有効性を判断する際にPSAの結果が参考とされた.本件は,わが国初の規制上の意思決定におけるリスク情報活用の事例である.
 一方,RIRを導入し推進するためには,原子力の利用によって国民が被るリスクに関する情報を,国民,事業者,研究機関,行政等の全ての関係者が共有しつつ,相互に意思疎通を図るリスクコミュニケーションを積極的に進めることが肝要である.本講演では,上述したように,原子力発電所の更なる安全向上を目指したリスク情報活用の最近の動向について紹介する.
問い合わせ先  2009年度RERM担当 梅本通孝(umemoto"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第67回リスク工学研究会

講演日時 2009年6月1日(月) 18:15〜20:30
場所 筑波大学総合研究棟B0110公開講義室
18:15〜19:15  講演1
講演者 赤間世紀氏 (株式会社シー・リパブリック,筑波大学客員教授)
講演題目 ネットは悪か
講演概要 ネットは我々の世界を飛躍的に便利にしてきたが,最近ではネット犯罪が急増している。このような状況から,「ネットは悪である」という風潮も高まっている。本講演では,ネット犯罪を含むネットのいくつかの問題および社会的背景を総合的に分析し,「ネットは悪か」という問いに対する1つの回答を与える。
19:20〜20:20  講演2
講演者 長能正武氏 (災害リスクマネジメント研究所 代表)
講演題目 都心に立地する高層ビル大学キャンパスの震災対応マニュアル
講演概要 超高層ビルキャンパスの主な震災課題には、大勢が収容されている縦の動線(階段) の制約とシステム依存性の強い空間であることから停電、断水、通信障害などの影響に加えて長周期地震動に対する応答特性(ゆっくりとした大きなゆれの継続)が生じる課題がある。建物や人身の被害が軽微であっても、学生、教職員に多数の帰宅困難者が生じキャンパス内での収容が迫られる。更に、不特定多数が行き交う周辺からの群集が無秩序に流入する恐れはきわめて高い。周辺地域社会からは有識者の集合体として非常時のリーダー的な役割を暗黙のうちに期待されており行政や周辺事業者からの多様な支援要請が寄せられると想定される。教育・研究機関としての大学には多くの学生が在籍しているが大規模災害などの緊急・非常事態への対応が組織的に指導され、役割・責任が明確にされている例は少ないように見える。都心に立地する高層ビルキャンパスの震災対応の課題、対応マニュアルの基本的なフレームの検討と策定手順の整理を試みた。
問い合わせ先  2009年度RERM担当 梅本通孝(umemoto"at"risk.tsukuba.ac.jp)

第66回リスク工学研究会

講演日時 2009年5月18日(月) 18:15-20:30
場所 筑波大学総合研究棟B0110公開講義室
18:15〜19:15  講演1
講演者 工藤道治 氏 (日本IBM東京基礎研究所,筑波大学客員教授)
講演題目 Global Technology Outlook 2009: Security
講演概要 Global Technology Outlook (GTO)は,毎年IBMの基礎研究所が作成する今後3-10年の技術動向に関する白書である.2009年のGTOのテーマの一つにセキュリティが取り上げられた.近年,データ損失や漏洩事件が頻発しているが,組織の内部関係者による不正なデータ持ち出しや業務のアウトソーシングの増加,Web 2.0による脆弱性の増加など様々な要因により引き起こされている.外部からの攻撃から組織のIT資産を守るという従来の防御の考え方を抜本的に変える必要が出てきた. 新しい防御の考え方として,細粒度のセキュリティ,些細なセキュリティ侵害を早期に検知する事前検知技術,システムの一部が攻撃されても他の部分に影響を与えない多層のセキュリティ・アーキテクチャなどの技術要素が今後ますます重要になってくる.
19:20〜20:20  講演2
講演者 原田幸明 氏 (物質・材料研究機構,筑波大学客員教授)
講演題目 リサイクルはなぜうまく進まないか―都市鉱山開発に向けての構造的問題―
講演概要 資源に乏しくかつ廃棄物があふれる我が国において,リサイクルは当然必須のことであり,循環型社会の形成は着実に進んでいると思われている.しかし,昨年発表した都市鉱山蓄積の可能性のうちの多くの量は「散逸ストック」として回収困難な状況であり,それが急速に改善される兆しもなかなか見えない.一見問題解決の方向が明確に思われながらも,なかなかその方向に動きにくい例としてこのリサイクルの問題をとりあげ,その中にある構造的な問題点を論じる.
問い合わせ先  2009年度RERM担当 梅本通孝(umemoto"at"risk.tsukuba.ac.jp)